yukiakiの日記

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綿矢りさ『ひらいて』感想 繊細かつ美しい心理描写は良かったが、話は最後までよく分からなかった

ひらいて

ひらいて

綿矢さんが描く女性の心理描写やものの捉え方は、心の奥底にとても深く深く潜って大事にすくいあげたかのごとく、時にとても繊細で、時に八ッとするほど鋭く、見ていてとても感心しましたし面白かったです。

しかしながらこのお話、僕は最後まで読んでみてもよく分かりませんでした。

それはストーリーは難解だとかいうよりも、僕が最後の最後まで主人公の愛ちゃんのキャラクターに違和感があり、彼女という存在をよく掴めなかった、分からなかったのが原因かなと思いました。

愛ちゃんは片思いのたとえ君に「身勝手で思いこみの激しい」と評される妄想暴走人間なのですが、一方で文学的側面があり、社交的でもあります。そして自分自身の気持ちを美しく的確な言葉で表すことができます(一人称ですから内面描写は愛ちゃん自身が紡いだ言葉であるはずです)。

自分にこれほどまでに深く潜って向き合えるくせに超絶バカ、今時の若者のようでとても文学的、正直「こんな超絶ハイブリッドな高校生いないよ!」というのが正直な気持ちでした。

おそらく愛ちゃんは綿矢さん自身であり、彼女はきっとこんな感じなのでしょうが、一人の高校生のキャラクターとしては首を傾げました。文章が巧すぎて逆に変に感じるという不思議な気持ちになりました。

むしろこのアンバランスさこそが文学なのかなと思ったりもしましたが…

それでもイメージをわかせながら、一気に最後まで読んでしまえるほど引っ張り込まれる魅力があり、とても楽しむことができましたし、彼女の作品の中でも最も好きな作品でもありました。

ラストの折り鶴の描写は本当に、息を飲むほど美しかったです。