- 作者: 辻村深月
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/10
- メディア: 単行本
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死者と一晩だけでも話ができたら僕は誰とあい、どんな話をするだろう?
今の僕にはそんな相手はいない。死んでしまった身近な人もいるけれど、生きているうちにやれるだけのことはやったと思うし、死んだらそれで終わり。死んだ後のことも死ぬ前のことも死んだらもはや関係ないと思っているからだ。
しかし、それでも死者に会いたいと願う人がいたとき、その人はどんな真剣な思いを持ってそこにいたったのかなとは思う。その感情は僕にはないものなのでとても気になる。
ツナグはそんな視点で読んでいましたが、とても読みやすく、面白かったです。登場人物達のそれぞれの真剣さ、戸惑いや、喜びや悲しみが丁寧に描かれていて感情移入しやすかったです。そして死者に依存したり引っ張られたりするわけではなく、今を生きている人間の物語であるという所がすごく良かったです。
特に最終章の「使者の心得」は、それまでの積み重ねもありとても感動しました。一番読者に近い目線でもありましたし、いろいろな仕組みやギミックも分かる面白さもありました。短編としても良かったし、集まった長編としても素晴らしかったです。
うん、いいもの読んだ!