架空戦記物のはしりにして傑作という評価をどこかで見て、名前も有名だったので読んでみました。
- 作者: 半村良
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/01
- メディア: 文庫
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手に取ってみての最初の感想は「薄いな、おい」でした。架空戦記というと自分の中ではやたらディテールに凝った分厚い作品というイメージがあったので意外でした。
実際中身も架空戦記というイメージよりも、しっかりしたオチのあるSF短編(中編)という印象でした。とは言っても物足りないというわけではなく、タイムスリップした自衛隊員たちが、その装備を駆使してどうその時代で過ごしていったかをしっかりと描いたとても密度の濃い力強い作品だったと思います。
読み終わってふと思ったのは、これが架空戦記物の元祖で良かったなということです。細かく一部の隙もない完璧な物語ではなく、「俺ならこう考える」「きっと描いてないけどここはこんな感じだったのではないだろうか」など想像する余地が多分に残ってたというのが読み手の想像力を刺激して、架空戦記というジャンルを作り上げたのではないかと思いました。実際僕も色々自分なりの想像をしながら読みましたし。
いい意味で完璧でないからこそ魅力的な作品だったと思います。