- 作者: 有川浩
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2012/03/09
- メディア: 文庫
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「還暦だけど俺たちはまだやれる」と町内のかつての悪ガキ三人組が手を組んで自警団を設立。ご近所の悪をとっちめるという内容の小説。
とても痛快で面白かったです。
読んでいてけっこうびっくりしたのが、三匹が挑む事件というのが、連続レイプ事件であったり、学校の飼育小屋の鴨のヒナ虐待であったり、けっこうエグいのです。本当に胸くそが悪くなるくらい。
ですので、事が終わって万事解決、何もかも元に戻りましたとはいかないのです。
それでも一つの章が終わった後には、とても爽快感がありました。
三匹のおっさんが、自分たちのやれる範囲で最善をつくして、最悪の事態は防いだというのがちゃんと分かりますし、登場人物たちも非常に前向きなラストを見せていてくれたからだと思います。このあたりはすごいバランス感覚だなあと思いました。
個人的には、三匹のおっさんの活躍もそうですが、高校生の祐希くんと早苗さんの視点、変わっていく関係性が面白かったです。
特に早苗さんの恋愛話に、年の離れた父である則夫が絡もうにも絡みきれなくて嘆きまくるところは、非常に新鮮で良かったです(普段読んでいるマンガの恋愛話だと父とか母の視点て少ないので)。
あと、居間においておいたら母が手持ちぶさただったらしく読んでいて、買ってきた自分以上にはまっていました。
則夫さんが好きで「続きがあるなら買ってきてよ」と言います。
そんな感じで、感想言い合ったり、家族の団欒のきっかけになったという意味でも、面白い本でした。