- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/01/20
- メディア: 文庫
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知らない世界の話は興味深い。
東野圭吾さんによって描かれる出版界をテーマにした「○笑小説」シリーズの第四弾ですが、今回も面白かったです。
ただ、今までの短編集と違い作者のホームゾーンが舞台の話ばかりなので、ある意味どんでん返しの大オチがあるわけではないので、大爆笑というわけではなく「出版界は伏魔殿だなあ・・・」みたいにちょっと含みを持った歪んだ笑いになる感じでした(ある意味タイトル通りなんですけどね)。
ですが、そのぶんリアルな出版界の異質さというか、清濁入り交じった変な感じがしっかりと表現されていて、いろいろ想像しながら読むことができました。
僕もまた趣味で小説を書いたりする人間なので、作者側の気持ちも編集者側の気持ちもある程度分かるので、「これは笑うべきなのだろうが、だめだ、笑えない・・・」と時々複雑な気持ちになってしまいました。
特にラストの『職業、小説家』などは、「僕も小説を書くから応援したいけれど親の立場なら娘の結婚相手に小説家は嫌だなあ・・・」とか本気で悩んで考えさせられて、ある意味その希望に溢れたラストにはちょっと感動してしまいました。
しかしこれを見ると編集者やプロの小説家には(なりたい気持ちがないわけではないが)、自分には荷が重いなあ・・・と思わずにはいられませんでした。
最前線で闘っている人達は偉い。どう考えてもキチガイだけれども(笑)。本当に凄い!