- 作者: 西尾維新
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/04/26
- メディア: 新書
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西尾維新風「人類を救うために巨悪に立ち向かうお話」
設定の奇抜さやキャラクターの特異さ、小道具の面白さ、人類を救うというより内輪もめしているだけじゃんという内容のツッコミ所も含めて、狂ったような世界観はとても魅力的で好きでした。
ただ、最初の方は読んでいて正直辛かったです。個人的に「それいるの?」という本筋とは関係ない無駄描写が多くて読むのが大変でしたし、「いや、そうはならんだろ!」という無理矢理な展開も多く、「○○の可能性もあったがそうはならなかった」みたいな感じで他の選択肢をとらなかったことやこれが数奇な運命であることを強調する描写(演出)なんかは何度もやられると「これは作者が言い訳をしているだけではないだろうか?」という疑念さえ生まれてきてしまいました。
しかしながら後半、主人公の空々くんの二度目の逃避行からは素晴らしく、前半のそれらの読みにくさを補って余りある疾走感があり、異端の若い男女逃避行が与えてくれる不安しかなくてもそれでも止まれない物語の推進力はともて心地良かったです。
結論としてはとても面白かったです。
また、空々くんはその性格が特殊すぎるゆえに「ヒーロー」に抜擢されるわけだけれども、その性質というのは誰もが持っているものだとも思いました。「何もできない」人達のヒーローを描くのが上手いなあ西尾先生は。