yukiakiの日記

映画とサッカーと漫画と猫が好きな男の生存確認ブログ 週刊少年ジャンプの全漫画の感想を書いて14年目

映画『インセプション』感想

公式サイト→ http://wwws.warnerbros.co.jp/inception/mainsite/

8点 (10点満点中)

友人二人と東京お台場のシネマメディアージュで先行上映を観る。観客は『踊る』や『ポケモン』におされてか収容人数の半分くらい。

「頭の中のアイデアを盗む」というキャッチコピーはほぼ導入で、メインは渡辺謙演じるサイトーが敵対企業の御曹司相手に自らの会社を破滅させるというアイデアを植え付けさせるミッション『インセプション』をディカプリオ演じるコブに依頼し作戦を遂行するというもの。

構造が非常に面白い映画だった。頭の中(夢の中)が舞台という何でもありの状況に、「夢を設計する」や「夢の中で夢を見て深層心理に近づく」、「夢で死んだら目が覚める」などのルールを持ち込むことにより、独創的で面白い世界観が構築されていた。その世界観を使った、例えば寝ている人間の体が急に回転すれば夢の世界も回転するというようなギミックは戦闘アクションシーンに独特のインパクトを与えていたし、目覚めの兆候から夢が終わるまでのタイムラグを使った時間制限などは物語にしっかりとした緊張感を与えていた。おそらくこの世界観と設定だけで10作品以上は映画が撮れるだろうと言うくらい緻密で秀逸な構造におおいに感心した。

反面、主人公は結局のところ他人の頭の中をいじくりまわす犯罪者であり、内面動機も非常に個人的なことから感情移入がまったくできず、作品内のミッションの成功は即ち一人の人間の破滅への第1歩であることからカタルシスがまったく得られなかったのがマイナス要因だった。

ただ、映画としての完成度はここ最近観た映画の中ではもっとも高かったのでその点は大満足だった。

ちなみに映画が終わった後は友達と「洗脳と本人が気付かない洗脳は、それが客観的に見て善なるものの場合、許されるべきか否か」で相当議論になった。見終わった後のしこりをみんなで討論や議論をするのだったら最高の材料になるとは思う。