- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/06/10
- メディア: 文庫
- 購入: 4人 クリック: 20回
- この商品を含むブログ (39件) を見る
フワフワした気分になる小説でした。
大きな事件が起こるわけではなく淡々と主人公と毎回違う場所で毎回見知らぬ女性と食事をするだけの話なんですが、それが妙に心地が良くて、とても落ち着いた気分になりました。
ハラハラドキドキするわけでもなく、知識を得て成長したと実感しているわけでもない。
ただ小説内のその空間で息をしているだけ、そのことだけでふと満たされた感じになるという、不思議な読書体験でした。
「ご飯を食べる仕草にとても品のある女性」というのが共通点なのですが、その姿がとてもイメージしやすく描かれていて感心しました。
それはいそうでいない。とても理想的なファンタジーであるからこそ心地良く、自分を映す鏡になっていたからこそ、いろいろ落ち着いて考えられて面白かったのかもしれません。
作品を包む雰囲気がとても素晴らしかったと思います。それこそ、最後にドキッとする展開がなければとうてい抜け出せなくなるくらいの魔性の魅力がある小説でした。