アニメ化するという噂を聞きつけ興味を持ったのと、表紙の「一度も読んでないけれど私の中ではすでに読破したっぽい雰囲気になっている!」に惹かれて購入しました。
1巻表紙のこの言葉自分としては非常に「分かる、分かる」でした。
僕が人に少しは誇れる読書体験というと、高校時代に寺山修司の本ならば、エッセイ、詩、短歌、俳句、戯曲問わず出版されているものは古本巡りをしてでもだいたい読んだ(映画もVHS集めていた)ということくらいなのですが、彼はけっこう他の映画や小説から言葉を引用してくることが多いので、僕自身も「フィルダー・クックの『テキサスと五人の仲間』にはギャンブルをやるうですごく大事な“必勝法”ともいえることが描かれているよね」とか言ってしまったりして、一度も見たことのない映画のことだけでなくギャンブルについてまで分かった気になっていたりしていたので、それはまさにこのバーナード嬢の言葉そのままなのでありました(笑)
というわけでこの本は読んでいて非常にシンパシーを感じると同時に、分かるが故に非常に気恥ずかしくなったり、または自分の意見と真っ向に対立することもあり(宮沢賢治の解釈とか)「笑う、怒る、面白がる、頷く、怒る、また笑う」と感情が行ったり来たりする、不思議な魅力に溢れれていました。
本好きに悪い人はいないとはいいませんが、一人の読書を趣味とするものとして、とても好きな漫画になりました。
とにもかくにも主人公のバーナード嬢こと町田さわ子の造形が素晴らしかったです。本は好きだが、できるだけ中身を見ずに、そしてより読書家に見られたいということにばかり知恵を絞ったり熱意を持ったりするという性格で、そのためにおこる友人達との会話のギャップや、逆に突飛なだが本質をついたかのような意見は、時に鋭く時にめちゃくちゃ滑稽で、非常に魅力的で面白可笑しい、他に類を見ないギャグマンガに仕上がっていました。
あと、作者が「最初は名言漫画のはずだったが、だんだんと浅い読書漫画になっていた」と書いていたりしますが、だんだんと内容は変質していき、後半にいく方が個人的には面白いので、最初が合わないかなあという人も、とりあえずは1巻くらいまで読んでみることをお薦めしたいと思います。
……しかしこれはどうやってアニメにするのでしょうね。
想像がつかないので、そのあたりも今からとても楽しみです。