yukiakiの日記

映画とサッカーと漫画と猫が好きな男の生存確認ブログ 週刊少年ジャンプの全漫画の感想を書いて14年目

映画『ロケットマン』感想 ロックスターの光と闇の高低差に耳がキーンとなりそうだった

去年観た『ボヘミアンラブソディ』が良かった事と、エルトン・ジョンに興味があったので鑑賞。平日の昼間の回で観客は30人ほど。50~60代くらいの女性連れが多かったです。

公式サイト → https://rocketman.jp/


『ロケットマン』本予告

ロックスターの光と闇のギャップありすぎでしょっ!

ええと、まず自分の前提知識として、エルトン・ジョンさんはスゴい音楽の才能があるが人間的に駄目な人という印象で、曲は有名なものを幾つか知っている程度でした。

しかしここに描かれるのは変な人でも駄目な人でもなく、愛を探していた一人の孤独な天才の物語でした。

派手なミュージカルシーンや、30代の自分でも知っている名曲が流れ、一人の人間が世界的スターへの階段を上っていく高揚が画面から感じられる中、常々挟まれそして後半に従って物語を覆っていくのは、彼の親に愛されなかったホモセクシャルという孤独と、愛を求めて八つ当たりのように周りに当たりドラッグに溺れていく退廃的な姿でした。

このあたりの煌びやかな世界と深く暗い内面宇宙の差は、なかなかに見ていてしんどかったです。ドラッグに溺れるのは良くないことですが、自分が誰だか分からなくなる状態を脱するために彼が壊れないために酒や薬に溺れていくのも仕方なしと思わせる説得力があって、いろいろ考えさせられました。

というか成功してから親父に会いに行くシーンなどは怒りで自分も拳を握るほど酷いシーンでしたし、元マネージャーの去り際の一言は明確に「こいつ最低だな」と分かりましたし(もちろんエルトン自身にも非はあるが)、人の心の断絶を描くのは、この映画は上手すぎだと思いました。事実であることが恐ろしくて震えがきました。

しかしそれでも、エルトン・ジョンが今も生きているという事実と(映画キングスマンに出ていたのは笑ったなあ)、物語の最後にはちゃんと盟友バニーとの友情に救いがあるのが良かったです。そこに気がついたんだ、まだ遅くはなかったんだといった意味で、すごくホッとしました。

世界を魅了したロックスターなんて地球上に何人も存在するわけではないので、そんな天才が何を考え、何を得て、何を失っていったかを見ることができるのはとても興味深く、面白かったです。