「アメトーク」の読書芸人でカズレーザーさんがお勧めしていたので興味を持って購入。
本書は「書き出し小説名作集」です。書き出しだけ、つまり物語の冒頭のだいたい1行だけの文章が416編収録されています。
これは正直すごい発明だと思いました。何より名作の1行を紹介するというスタンスではなく、存在しない物語の1行目だけを書いてみるというコンセプトが素晴らしかったです。
驚きは2つ。1行だけでもその物語のその後が(自分の頭の中で)見えてくるということと、1行だけで作品になるのなら誰でも物語が書けるということです。
なんだか物語が作ってみたくなる衝動に駆られる本でした。書き出しの続きを書いてみてもいいし、自分で1行目を作り出してもいい。何かを想像・創造したくなるきっかけになる本だと思いました。
とりあえずぱっと開いたページで目に飛び込んできた一文・・
「私は王様ゲームでできた子どもだ」
僕はこの「私」が物心ついて、自分の両親を越えた自分自身のルーツである「王様」を探しに行く場面が見えました。そしてその過程でも王様ゲームが立ちはだかるのです。自分の運命を他人に委ねることの安心感と恐怖感の狭間で、再び自分の運命を決定することになった「王様」、そこに彼女は何を見るのか・・・というところまで妄想しました(笑)
こんな遊びが416+自分で作ればもっとできる本書はとてもコスパのいい本だと思いました。