「マーちゃん、俺たちもう終わっちゃったのかな?」
「バカ野郎、まだ始まってもいねぇよ!」
「夢と挫折」というテーマで、まっ先に連想したのが北野武監督の映画『キッズリターン』のやりとりでした。
ヤクザの世界とボクサーの世界、それぞれの夢の部隊から脱落した二人の幼なじみが、かつての学校の校庭にて二人で自転車をこぎながら語り合う有名なラストシーンだ。
映画の二人は間違いなく終わっている。ヤクザくずれとボクサーくずれがまともに生きられるとは思えない。
だがしかし、それでもこのシーンが心に刺さるのは、たとえ空元気でも、彼等には浮上の意志があり、それをすぐに言葉に出来たことだ。
挫折はひどく苦しいものだ。
僕もまた自分の希望する仕事に就くことができて、それに一生を賭けようと考えていたが、体を壊してしまい続けることができなかった。
それはそれまでの多くの失敗や敗北などとはまるで違う、明確な挫折だった。体の回復含めて、そのことを認めて立ち直るまでに一年近くの時間がかってしまった。
夢を持ってそれに向かってひたむきに走っていた時間は間違いなく宝物だ。だからこそ、失敗した時、それが終わってしまった時の反動も大きい。
でも、僕は生きていて、人生は続いていく。
時間はかかったが、立ち直ることができたという事実が、今も自分を支えています。
この先何度か新たに夢を見て期待して、時には成功するも、時には失敗して挫折することもあるでしょう。
そのたびに心の中から聞こえる「お前終わったな」の声に「バカ野郎、まだ始まっていねぇよ!」と強がって叫んでいきたいと思っています。