僕の青春の一冊と言えば、それは間違いなく寺山修司との出会いでした。
中学校の朝の読書時間で大槻ケンヂのエッセイを読んでいた僕は、その中で「私は寺山修司の弟子になりたかった」という文章に興味を持ち、ちょうど書店で見つけたハルキ文庫の『世界の果てまで連れてって』読んで、その言葉の力強さや美しさに衝撃を受けました。
その後は彼の詩集やエッセイなどを漁るように読みました(映画も借りて見た)。
その中でも特に印象にのこっているのが『十五歳』という詩です。
ある朝
ぼくは思った
ぼくに愛せないひとなんてあるだろうか
だが
ある朝
ぼくは思った
ぼくに愛せるひとなんているだろうか
ぼくの
書きかけの詩のなかで
巣のひばりがとび立とうとしている
日は
いつも曇っているのに
僕はこの中の『日は いつも曇っているのに』という部分がすごい好きです。
周りを気にしがちだった自分に、心が動くとき、自分が変わる時というのは周りの環境など関係ないのだということに気付かせてくれましたし、雲ひとつない晴天も、どしゃ降りの雨も必要なく、もっと自由に、このはっきりしない空のような気持ちの中にも、飛び立つ瞬間は訪れるのだという希望を与えてくれました。
初めて読んだ時から15年以上たった今でも暗唱できるくらい、心に突き刺さった言葉です。