yukiakiの日記

映画とサッカーと漫画と猫が好きな男の生存確認ブログ 週刊少年ジャンプの全漫画の感想を書いて14年目

麻草郁 小島アジコ著『アリス イン デッドリー スクール』感想 ラストの疾走感が素晴らしかった。1冊でドキドキハラハラできる傑作!

本屋で別の本を探している際に目に入って、そういえばブログで物語を作るみたいな話の時に小島アジコさんが紹介していたなと思い出して購入。元々が舞台の作品であるということは知っていました。

世界が突如滅んで(ゾンビまみれになる)、その中で学校という屋上に放り出された少女達17人の物語ですが、とても面白く感動的でした。

絶望的な中でもユーモアを忘れない彼女達の会話やギャグは、普通に萌え四コマ的作品としても面白かったですし、一人また一人と命を失っていく様は彼女達が魅力的であればあるほど悲しく、ハラハラドキドキさせられました。

舞台が原作ということで(場面転換がしにくいので)世界が大きく広がっていかないのですが、それが逆に少女達の心情やキャラクターに目を向けさせてくれて、その関係性や魅力をより深く味わうことができました(この舞台らしさというのはいい意味でも悪い意味でも本作の特徴になっていたと思います)

どことなく百合的というか、男のキャラクターに代替えできない女性同士ならではの空気感や関係性が、17人それぞれのグループの中にあり、また新たに形作られていく様がとても面白かったです。

そして何よりもラストです。ラストの疾走感が素晴らしかったです!

ラスト5ページがなければ僕はこれを普通の作品だという評価にしていたと思いますが、ラストで全ての印象が覆りました。それはある意味ではこれまでの展開の否定にも繋がりかねないかなりの力技なのですが、ここに究極の百合感というか、理屈づけられない希望という名の本質みたいなものを感じられて、とても胸が熱くなりました。

買って良かった。そして舞台版も是非見てみたいです。どこかで映像とかないのかな?