yukiakiの日記

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水道橋博士『藝人春秋』感想 自分の目で見たことを語る ということの難しさと素晴らしさと

藝人春秋

藝人春秋

ー芸能界という「あの世」を語る渾身のルポエッセイー

本の紹介文に偽りなし。「渾身」という言葉がまさに胸に突き刺さる、とても読みごたえのある本でした。

芸人という職業の凄み、哀愁、業の深さを、同じく芸人としての立場で水道橋博士が語るという構成は、今まであるようでなかった、見たことがなかったもので、とても新鮮なものでした。

特にその文章のスタンスは、世間的なイメージに媚びるわけでもなく、アンチに徹するわけでもなく、彼自身の人生観そのままの視点で語っていて、それが実に真剣勝負(ガチンコ)で、とても緊張感がありました。

内容としては10年以上前に書かれた文章が多いので、その時のことをよく知っていることが前提になり、読む側も「ああ、あの時はこうだった」みたいなことを思い出しながら読まなければならないので少し大変ですが、その苦労のぶん書き下ろしの「その後の話」を見て、現在の状況とリンクし、自身でもその間を空想するのは、ある種のカタルシスがあって気持ち良かったです。

語りたい人生がある誰かが周りにいて、そしてそれを書かせてもらうというのは、憧れや色々な気持ちがあるぶんとても難しく、しかしだからこそ素晴らしく、幸せなことだなと思いました。