タイトルを見たときはよくある武士娘ものの学園ライトノベルだと思っていたのですが、ネットのレビューで「右翼政治もの」と聞いて「それってエンタテイメントになるの!?」と興味を持って読んでみました。
- 作者: 至道流星,まごまご
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/07/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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読んでみたらあらびっくり。右翼でありつつ、しっかりとしたエンタテインメントでした。
主人公の日毬は、言ってもかなりのギャグ性を帯びているか、「右翼的なもの」というキャラクター付けにとどまると予想していたのですが、思った以上に現実に即した右翼でした(まあ実際にはこんな右翼はいないわけですが「真正なる右翼は日本に私ただ一人である」という繰り返される日毬の名台詞の「真正」の解釈いかんでは、それほど外れているとは思えないくらいにはしっかりとした右翼だったと思います)
政治の頂点を目指すためにアイドルになるという展開も、決して突飛な発想ではありませんし(政治家になりたいからアナウンサーになったという人も実際いますし)、芸能界やプロダクション経営の描写がけっこうしっかりしているのであんまり違和感なく読むことができました。
僕は右翼にしても左翼にしても利権さえ絡まなければ、みんなを幸せにできるかもしれない思想の一つという位置づけであり(実際にはどちらも無理だと思うけれど)、政治を題材にすることの抵抗感はあまり感じなかったからかもしれませんが。
第一巻は、個人的にはキャラクターの「顔見せ」程度の内容でしたが、ところどころに散りばめられた要素から、これから日毬が世界初「右翼的なアイドル」としてどうやって成功していくかなど、いろいろ想像が膨らんでとても楽しいです。
そして彼女は一体どこに着地するのか?
僕は政治家とアイドルというのは人気商売という点では共通していても、政治家は「決定をする」ことが仕事であり、アイドルは青春の現象としていつまでも未完の「決定しない」ことがアイデンティティだと思っていますから、これらは似て非なるものだと考えています。
だからこそ、右翼という思想は中二病的なものとして卒業されてしまうのか、それとも右翼として本当に理想の日本を作り上げるのか(映画『少林サッカー』のような結末になるのか)、日毬という少女の物語がどういう風に完結するのかとても楽しみです。
続刊も少しづつ読んでいこうと思います。