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ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)
- 作者: 三上延
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2013/02/22
- メディア: 文庫
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「うつし世はゆめ よるの夢こそまこと」
この作品の登場人物は皆どこかで多かれ少なかれ、本の魅力に取り憑かれた、浮世離れしたな人達が出てきますが、今回は特にその傾向が強かったようなきがしました。「うつし世はゆめ よるの夢こそまこと」が座右の銘だった江戸川乱歩がテーマだからでしょうか。ですが、決して“ありえない”存在ではなくて、それぞれが共感できる一面を持っていたのが印象的でした。人間はディズニーランドとかが現実的な例ですが、「人は夢を見ずにはいられない」側面があるのかなあということを考えながら読んでいました。
シリーズ4冊目ですが、ミステリ作品として今回も動機やトリックなどにはしっかりと伏線が張られたうえで、ちゃんとした解答が用意されていて面白かったです。東日本大震災後の物語である描写がありますが、そのこともしっかりと物語の中での伏線に含まれているのが良かったです。
そして何よりもこのシリーズの一番の魅力である、本の虫である栞子さんと、本が読めない青年の大輔くん、二人の関係性がこの巻で大きく変化の兆しをみせました。その一番の見所である、ついに登場した栞子さん母智恵子さんの誘いを彼女が拒むシーンの台詞は、「うひょ〜っ!」と胸がキュンキュンしました。やっぱり僕はこの二人が好きだなと再認識させてくれる巻で、大満足でした。