書店のランキング直木賞芥川賞の本の後にのっているのを見つけて、「ああ、そういえば金子さんが死んでからだいぶたつのか(とはいっても4ヶ月程度前の出来事ですが)・・・」と思って手に取りました。
僕にとって金子さんは『ほんまでっかTV』で明石家さんまに弄られている面白い人という印象でしたから、昨年の突然の訃報にはびっくりしましたが、具体的にどういう人だったかは全然知りませんでした。
それでもずっと書店のランキングに残っているくらいだからきっといい本なのかなと思って購入しました。
- 作者: 金子哲雄
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2012/11/22
- メディア: 単行本
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読んでみたら想像以上にものすごく、衝撃的な内容でした。
41歳という若すぎる年齢での避けられない死の宣告、それに対して著者が出した答えが「死ぬ間際まで仕事をすること」。そして彼は本当に死のギリギリまで仕事を続けていきます。
それは本の前半部分で語られる彼が「流通ジャーナリスト」になった経緯、仕事が本当に好きな性格であることを考えれば、とても“らしい”願いではありますが、「死」という絶望に対して臆することなく、ここまでストイックに、しっかりと最後まで向き合って折り合いをつけてみた姿勢は驚異としか言いようがなく、読んでいて手が震えました。
僕ではまだ想像することすらうまくできない「死」という概念、それが自分に降りかかりつつ、苦しい体を文字通り引きずって「流通ジャーナリスト」として「みんなを笑顔をわけたい一人の個人」として何ができるかを考え続け、実行し続けた姿勢は、「死んだ後のことなんか考えようがない」と思っていて僕にはとても驚きでした。
「僕は将来ここまでしっかりと死と向き合えるだろうか?」ということを考えずにはいられませんでした。
その時が訪れたとき、一つの指針になる本だなと思いました。