- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/04
- メディア: 文庫
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タイトル通り黒さにまみれた笑いの小説で面白かったです。
「怪笑小説」のようなハッとする笑いでもなく、毒笑小説のようなぐじぐじした笑いでもない、人のコンプレクスに目を向けて、そこを笑い飛ばすという種類の笑いだったと自分では思いました(小学生が自分の中で生成された臭くて嫌なものであるウンコで何故か笑ってしまうみたいな)。
そのため、たぶん全然関係ない人には面白いでしょうが、笑われている側の当事者に近い人間には胸がしめつけられるような痛さのある小説でした。
たとえば『線香花火』で文芸新人賞を受賞して仲間や家族にも褒められて作家気取り満々、でも編集社には「賞のレベルが低かった。一年で消えるどうでもいい作家」な熱海圭介くんは、こんなアクセス数の少ないブログを運営し、一回のイベントで10部も同人誌が捌けない、「あんたの文章なんて誰が読むの」と言われると泣いてしまう創作クラスタの人間にはきつすぎる内容でした(;´Д⊂) あう‥
他にも男性の性について扱った『インポグラ』や『モテモテ・スプレー』など、たぶん特定の範囲の人には笑えるよりもきついお話のオンパレードでした。
だから僕は東野さんは乗り越えた人というよりも、自虐的ネタを言うマゾなのではと後半は疑いながら読んでいました。
・・・まさかね?