- 作者: 森博嗣
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2012/04/24
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 15回
- この商品を含むブログ (26件) を見る
哲学する侍の物語でした。
世間との交わりを絶った環境で育った凄腕の剣客ゼンがふと立ち寄った村で竹から生まれた宝物「竹の石」を巡る陰謀に巻き込まれるという時代劇の王道みたいな話ですが、主人公ゼンが慣習に疎かったり、常識を疑ったり、物事を科学的に見たり判断したりすることで、とても特異な物語になっていました。
ゼンの一人称で描かれる周りの描写や彼自身の変化がとても丁寧で、その思想は「原因と結果とその過程をしっかりと見定めるんだ」「自分自身で判断するんだ」というこれまでに森先生がいろんな本で言っていることの集大成のような感じがして、とても気持ちよかったです。
そして、一つ不思議だなと感じたのは、これまで新書とかで言われていたことも、こうやって物語にした方が、一人の人物の体験を通した方が、より伝わるものだなあと思いました。
あと、ゼンにとって剣が自分自身を作る考え方の基礎になっているものならば、僕にとってはそれはサッカーだなと、ふと考えつきました。一番自分が頑張って、今も週一くらいで続けているスポーツ。そういうのがあるって幸せだなと思いました。