yukiakiの日記

映画とサッカーと漫画と猫が好きな男の生存確認ブログ 週刊少年ジャンプの全漫画の感想を書いて14年目

荒川弘『百姓貴族』感想 農業やっているとタフネスつくよね

百姓貴族 (1) (ウィングス・コミックス)

百姓貴族 (1) (ウィングス・コミックス)

百姓貴族 (2) (ウィングス・コミックス)

百姓貴族 (2) (ウィングス・コミックス)

規模は小さいが僕も農家の息子である。農業収入なんて肥料代くらいにしかならねえよという程度の兼業農家。タマネギを栽培したり、昔は鶏を飼ってたりしました。


なのでこの本は動物による被害とか農家的なものの考え方とかは「うんうん、そうだよね」とうなずき、北海道や酪農家特有の規模のでかい話は大爆笑して楽しく読めました。


そして、なんか昔のことをたくさん思い出しました。


夏休みに鶏小屋に卵取りに行ったら、ハクビシンか何かに金網突き破られてて、小屋の中の血や羽が飛び散った惨状を目の当たりにしたトラウマとか。
畑にゴミを捨てたり野菜盗んだり勝手にたき火する奴等マジ死ねよと憤慨したこととか。
一日中延々とタマネギのひげ根を切っていて、手は動いているけど頭はどっかに飛んでいる感じとか。
傷物の出荷できない野菜がこんもりできて、「同じ野菜なのに寂しいな」と切なくなったこととか(まあ自分たちで食ったり近所に配ったりするんだけどね)。
病気等で作物がほとんどやられちゃった時の悲しい感じと、次の日には「まあ仕方がないよね」と割り切っちゃう自分にびっくりすることとか。


振り返ってみると、自分自身のキャラクターに農家としての経験てけっこう影響与えたなあと思いました。なんというかタフネス得たよなあと。


今まで見たエッセイ漫画の中でも内容のひじょうに濃い部類に入る漫画でした。

面白かった!


追記:あと、改めて荒川先生の才能を感じました。「銀の匙」など自身の体験を体験のみにとどめず、しっかりとしたエンターテインメントに昇華させていて、素晴らしいの一言です。