- 作者: 辻村深月
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/05/26
- メディア: 単行本
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十代の頃は死と近い。この感覚は良く分かる。
“身”近ではなく。ただ近い。
知らないものを知りたい(必ず訪れるものだし)という好奇心から、単純に刺激が欲しいストレスを解消したいという欲求から、どうしよもない不安や閉鎖感を突破する手段としての過度な期待から、「自分を特別なものにしてくれるという」勘違いから、多かれ少なかれ様々な理由で「死」についてまったく意識したことのない十代なんていうのは僕はいないと思う。
だからこの物語の主人公小林アンや徳川勝利が日々の中で積み重ねて、真剣に考えた「自分自身を自分の理想の形で殺したい(殺されたい)」 という感覚は多少過激ではあるが、否定することも、バカバカしいということも僕はできなかった。それどころか、中学生当時に僕もまたベクトルは違うけど真剣に考えた「世界の中心」とか「遺伝子と自我」とかそういう、今で言う中二病的なことを思い出して、その共通点を探すことによってとても共感できた。
谷村先生は前読んだ短編や「ツナグ」の時も思いましたが、若者の描写がリアルで好感が持てます。
ラストも爽やかでとても良かったです。
ただ、最初タイトルからミステリーと勘違いしていたのはないしょです。