- 作者: 中島らも
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/11/12
- メディア: 文庫
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
日本は醤油の香りがするというのを外国人に聞いたことがあります。その時はまさかそんなことと思いましたが、海外旅行に行って帰ってくるとなるほどそうかもと思いました。国には確かにその国独特の匂いがあります。そしてアジアにはヨーロッパやアフリカやアメリカ大陸どれとも違った独特の匂いがあります。
そんな匂いが文字を通してこちらにまで伝わってくるような不思議な感じを読んでて受ける本でした。
それは食べ物の描写が多いからかもしれません。美味い美味くないとはまた別のこういうものだという各国の料理がたくさん出てきては登場人物たちの腹におさまっていきます。
そして人間模様。食べるものが違えば人間も変わります。それぞれの国のそれぞれの人としてのスタイル(例えばタイではオカマに寛容だという文化)もまたその場の雰囲気や匂いをつくりだします。
島国日本とは少し違った、粗暴で緩くて臭くてねっとりとして魅惑的なアジアの香り。危険ながらも人を引きつけるそれに誘われて、ある意味旅行記よりも旅に出たくなる、そんな気持ちにさせてくれる本でした。