- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2009/10/23
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個人的にものすごい大好きな作品です。
女の子同士の恋愛というとても繊細なテーマをギャグや萌えに逃げず、思春期の気の迷いと一蹴せず、真正面からしっかりと捉えた作品だと思います。
出てくる登場人物はそれぞれ魅力的ですが、悩みやコンプレックスを持った普通の人々です。そんな普通の人が自分の中(もしくは自分の大切な人の中)に「同性を好きになる」という特殊性を持った時にどうするか、周りとどのように折り合いを付けていくかということを一生懸命に考えたり、時には感情が爆発しててんやわんやになってしまったりする様がとても丁寧に描かれていました。
僕はこういう色々な思いを抱えて、そのことに真剣に向き合おうと頑張る女の子が大好きなんです。キュンキュンします。
例えば、ふみちゃんという女の子が一番の友達のあーちゃんに同性の先輩と付き合っていることを言う場面、「気持ち悪いって思わないで・・・」と泣いてしまうシーンは相当胸がドキドキしました。何て不器用でいじらしくて、可愛くてナチュラルに魔性の女なんだふみちゃんはと思いました。
演出面でも感心することが多く、群像劇として上記のようにストレートな場面を切り出す一方、すぽーんとシーンが飛ばされることがあって、そのあえて描いていない部分のセレクトが素晴らしいと思いました。これは文章で説明が難しいのですが、要は視聴者の想像力に任せる部分の選び方が巧みだということです。あえて描かないことでキャラクターをたたせるテクニックはなかなか他で見られない職人芸の域に達していると思いました。
ただ一つ残念なのはこの物語が11話で終わりきっていないことです。いや、むしろ始まってもいないのでは。
主役の二人、あーちゃんとふみちゃんが「好き」を意識するところまでは描けているのにそこで終わってしまっていて、むしろここからが恋の本番だと思うのですが・・・。
これは原作がまだ続いているらしいので仕方がないことなのでしょうが、アニメ作品としてある程度オリジナルでもいいのでキリのいいところまで完成させて欲しかったです。
ですが全体としては演出や作画ともに高レベルのとても素晴らしい出来の群像劇だったと思います。面白かった。続きは原作を買って楽しみたいと思います。