近所のTUTAYAのお勧めコーナーにあり、ジャケットが素晴らしくカッコ良かったので興味を持って観賞。
原作は未読。全12話、一気に見ました。
- 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
- 発売日: 2011/08/24
- メディア: DVD
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第1話を見たときは「スゲ−」と思わず唸る感動があった。足を怪我してバレエを辞めた天才ダンサーの主人公尾形琳ちゃんが人型2輪車ロボット・ライドバックに出会って新たな世界を見る展開は希望に溢れていて気持ちよかったし、綿密に描かれた作画や考えられた演出は作品の完成度をより高めていた。
その後も天才的センスでレースで活躍したり一人の女の子として部活で仲間とうちとけていく物語は、メカものとしても琳ちゃんの成長物語としてもテンションが落ちず、特に友達を助けるためにテロリストと政府軍の包囲網を彼女が単独で突破する第4話は迫力満点でカタルシスがあった。
しかし、ここからちょと傾向が変化する。政府やテロリストの闘いに巻き込まれて少しづつ話が暗くなってくる。もちろんそれ自体は最初からある程度示唆されていたし、陰鬱な大人の世界に巻き込まれる中で、等身大の女の子としての面と、自身でも制御できないライドバックの天才という面に翻弄され悩む様は、一人の少女の物語としてぎりぎり機能していた。
しかしながら後半の方になってくると、尺の問題もあったと思うが、少女の物語は急速に畳まれる。政府軍とテロリスト軍の闘いからは実質外されて関係なくなるし、琳ちゃんとライドバックとの関係も本筋から外れているので薄くなる。完全に少女の成長物語という面と戦争物語としての面が乖離してしまっていた。、
琳ちゃんは結局この物語の中で一人も人を殺さないし、テロリストと政府軍の戦いの趨勢を決定する活躍も何一つしなかった。それは個人的には琳ちゃんは世界に向き合わず、自分の中で結論を出してしまったという印象しかなく、それだったら元からこのリアルに陰湿な世界観そのものがいらなかったのではと思ってしまった。(第1巻くらいのライドバックレースをずっとやっていれば良かったのかも・・・)
少女の成長とリアルな戦争、前者を優先させると後者が状況になってしまい薄くなるし、後者を優先させると前者はどこか壊れた人格にどうしてもなってしまうので、両者はやはり水と油なのだろうなと思った。
ただ、水と油を混ぜたドレッシングは振って混ぜた直後なら美味いやつは本当に美味い。そういった意味でこの作品の最終回はかなり良く出来たドレッシングだったとも思った。いろいろ考えると矛盾が出ちゃうけど・・・